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類義語を学ぶ――gather, assemble, collect の使い分け

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類義語を学ぶ――gather, assemble, collect の使い分け

類義語を学ぶ――gather, assemble, collect の使い分け

2022/07/08

類義語攻略

gather, assemble, collect の使い分け

gather, assemble, collect はどのように違うのか

1.「集める」と「集まる」

 日本人は、それと全く意識することなく、ある種の動詞をいとも簡単に、自動詞と他動詞に使い分けています。すべての動詞について言えるわけではありませんが、かなり多くの場合に、その使い分けが可能です。例えば、今日、話題にしたい三つの類義語、gather, assemble, collect についても、この点で面白い比較が可能です。

 gather, assemble, collect は、いずれも「集める」という意味で使われます。例えば、gather evidence と言えば、「証拠を集める」という意味であり、assemble data for a report と言えば、「報告書を作るために資料を集める」という意味であり、collect stamps と言えば、「切手を集める」という意味です。面白いことに、これらの動詞は他動詞ですが、時には自動詞としても使うことができます。例えば、A lot of people gathered around him to ask him questions. と言えば、「彼に質問しようとして多くの人が彼の周りに集まった。」と言う意味です。 また、The children were asked  to assemble in tha hall. と言えば、「子供たちはホールに集合するように言われた。」という意味であり、Dust will collect on unread books. と言えば「読まない本の上には埃がたまります。」という意味です。

 一方、日本語では「証拠を集める」と言う代わりに、「証拠が集まる」と言えば、簡単に「集める」という他動詞を自動詞に変えることができます。「集まる」は何かが、あるいは誰かが、自ずと「集まる」という意味ですから、「~が集まる」と言えば、自動的に「(誰かが何かを)集める」という意味は消えます。他の例としては、陶工が粘土を「固める」と言えば、粘土という「固める」対象が存在するため、「固める」は他動詞です。しかし、「雨降って地固まる」の「固まる」は、雨が降って地面が緩んだ後で、自ずと、以前にもまして地面が「固まる」という意味ですから、自動詞です。また、物価が「上がる」と言えば、諸々の要因で物価が「上がる」のであり、「上がる」は自動詞です。しかし、ある会社が社員の給料を「上げる」と言えば、「上げる」対象は給料であり、給料という「上げる」対象が意識されている限りにおいて、「上げる」は他動詞です。また、「下げる」と「下がる」も、例えば、「~さんが自分の評判を下げる」に対して「~さんの評判が下がる」を比較すれば、自分という対象の「評判を下げる」ことが主として意識されている前者は他動詞であり、何らかの原因で「~さんの評判」の「下がる」局面に主たる意識を集中させている後者は、自動詞です。

 このように、ある種の動詞は、語尾を少し変えることで、行為の対象を意識しない自動詞にも、行為の対象をしっかり意識する他動詞にも、きれいに使い分けることができます。他にも、「治める―治まる」、「絡めるー絡まる」、「休めるー休まる」、「降ろすー降りる」、「揺らすー揺れる」、「乗せるー乗る」、「すぼめるーすぼむ」、「開けるー開く」、「分けるー分かれる」、「裂くー裂ける」、「溜める―堪る」などの動詞は、同様に使い分けられます。

 ところが英語では、上の gather の例文で見たように、同一の動詞が、スペリングも発音も全く同じのまま、ある場合には他動詞として、別の場合には自動詞として使えます。一見すると、日本語よりもさらに便利ですが、それを使う側にも、使われる側にも、どちらなのか決める決断と判断が求められます。これは、英語を外国語として学ぶ日本人には多少きついところがあるとしても、ネイティブの人たちには何ということはありません。と言うのも、他動詞は目的語を取り、自動詞は目的語を取らない、という決定的な、そして明確な、違いがあるので、使う方はそのいずれにするのか、また、聞く方は、そのいずれだったのか、0.01~0.1秒の間に決断し、また判断すればよいだけの話だからです。いや、ネイティブの英語話者たちは、特に考えるまでもなく、時間も掛けず、自動的に決断をし、自動的に聞き分けます。

 では、具体例を見てみましょう。例えば、The sun sank below the horizon. は「太陽は地平線(または水平線)の下に沈んだ。」という意味で、sank は sink (「~が沈む」)という自動詞の過去形として使われていますが、A gale sank the boat. では、「強風がボートを沈めた。」(=「強風でボートが沈んだ。」)という意味で、sank は sink (「~を沈める」)という他動詞の過去形として使われています。

 ところで、below は前置詞で、すぐ次の語 the horizon と結びついて「前置詞句」を形成し、「前置詞句」は形容詞句もしくは副詞句の働きをしますが、ここでは、直前の動詞 sank を修飾するので、副詞句と判定されます。 belowは「~の下に」という意味をもち、 sank (「沈む」という意味の自動詞 sink の過去形)に沈んで行く方向を示しています。一方、A gale sank the boat. では、sank の後ろに前置詞はなく、名詞の the boat が来ています。そこで、the boat は sank の目的語となります。全体としては、主語の a gale が、目的語の the boat を「沈めた」と言う意味になります。

2.gather の意味

 さて、gather は多くの場合、「集める」という意味で使われますが、何をどのように集めるときに、使われるのでしょうか。gather は「あたりにあるものを集める」という感覚で使われます。例えば、The street performer gathered a crowd around him. と言えば、「大道芸人は彼の周りに群衆を集めた。」という意味です。gather は「あたりのものを寄せ集める」、「あたりのものを拾い集める」、「あたりのものを摘み集める」、「(庭に干したものなどを)取り入れる」と言う意味で使います。hunting and gathering と言えば、gathering は、縄文時代の人たちの生活の基本であった「狩猟」と「採集」のうち、「採集」を指します。また、上に紹介した gather evidence は、例えば刑事が犯行現場やその周辺を探索し、遺留品や指紋、あたりの住人からの聞き込み情報など、「証拠」を残らず集める、といった意味合いがあります。

 他方、「あたりにあるものを集め」という意味を、多少、比喩的に使った興味深い例としては、The train gathered speed. があります。これは「列車はスピードを上げた。」と言う意味ですが、「自分の中に備わっている余力を一か所に搔き集める」=「結果としてスピードを上げる」と言う意味で使われています。これに対して、The train picked up speed. と言うと、単に列車がスピードをぐんと上げた、という意味になります。

 また、衣装に関する用語でギャザーと言う言葉があります。これは、例えば、衣服にアクセントをつけるために、腰のあたりなどにひだを取る作業、すなわち、すでにそこにある布を、ある一点に向かって「寄せ集める」作業から生まれた言葉です。「そのあたりにある」ものを自分の近くに、あるいは、一か所に寄せ集める、という一般的な意味合いが、ここでも確認できます。

3.assemble の意味

  では、assemble はどのような意味を持っているのでしょうか。assemble は必ずしもあたりに散らばっているものを集めるのではなく、集められる資格を持っているもののみを、集められるべきタイミングで集め、何事かを成し遂げるときに使う言葉です。assemble data for a report という例をすでに紹介しましたが、この場合も、データをむやみに多く集めるのではなく、報告書(report)をまとめるために必要なデータを必要なだけ集めるのです。ここでは、当然のこととして、役立つデータと無関係なデータが予め選り分けられます。assemble はまた、完成品の素材となる「部品」を集めるときにも使います。厳選され、過不足なく集められた、何千、もしくは何万、もの部品が何かの目標(=完成品)に向かって正しく組み立てられることで、当初に予定され意図されていた製品が世に送り出されることになります。スマホでもコンピュータでも自動車でも原子力潜水艦でも、そこに必要不可欠な、無数の部品が使われることは言うまでもありません。それらがあるべき場所に集められ、あるべき順番で組み立てられて初めて、一個の完成品となり、しかるべき価値が付与されます。自動車の組み立てラインのことをアセンブリーライン(assembly line)と言いますが、これが日本語の一部にもなっていることを、ここで思い出してください。

 また、assemble の名詞形である assembly は、多くの場合、「集会」「会合」と言う意味で使われますが、当然、そこに出席する人は、特定の組織の委員など、そこに集まることが期待されている人たちであり、見識も資格もなく、何処からともなく集まる烏合の衆ではありません。烏合の衆なら、crowd (群衆、人だかり)と言います。また、general assembly と言えば「定期総会」と言うほどの意味ですが、この総会では、過去1年間の活動が報告され、次年度の予算案や活動目標が審議され、それが可決されれば、次年度へ向けてさらなる活動が展開されます。会社でも、NPO法人でも、その他どんな組織でも、定期総会の重要性は変わりません。所与の組織がそこに向かって進むべき共通のヴィジョンを確認する意味でも、意義深い会合です。assembly には「結果を出してなんぼ」に近い、高次の期待が付きまとうのです。

4.collect の意味

 次に、collect はどのような意味を持っているのでしょうか。collect は、何かを、ある目的をもって「集めて回る」「収集する」「徴収する」と言う意味で使われる言葉です。すでに紹介したように、collect stamps と言えば、「切手を集める」と言う意味ですが、もっと言えば、切手の収集を趣味にしている人が、ある種の情熱をもって、例えば記念切手を求めるのに、発売日に郵便局まで行って、朝早くから列に並んで買い求めるような行為を指します。自分にとって、またある特定の人たちにとって、価値のあるもの、例えば骨董や珍品、嗜好品などが、多くの場合、密かな情熱をもって、「集める」対象になります。面白いことに、collect はまた、親がきちんと下校時に学校へ行って、自分の子供を「連れ帰る」ときにも使います。学校へ預けていた自分の子供を、学校から引き離して、自宅へ連れ帰る、と言う意味です。それは親の義務であると同時に、親の権利でもあります。collect はまた、会費を「集めて回る」ときにも使います。会費を納めるのは会員の義務ですが、会計係がそれを集めるのは、決まりを実行する行為でもあります。これらの場合、集められるのは、子供であり、会費ですが、いずれにしても、それ相応の価値を持ったものが「集める」行為の対象になることには変わりはありません。

 パリコレ(Paris collecton)は年二回、フランスのパリで開かれるファッションブランドの新作発表会です。コレはcollection の略語です。collectionは「集められたもの」を指す言葉です。そこに集められ、発表されるのは、一人のデザイナーが仲間と共に知恵を絞って創作した、選りすぐりの衣装作品です。ですから、作品を「集める」のはデザイナーです。世界をリードする気鋭のデザイナーのセンスや経験、またビジョンが、それらのコレクションから伺われます。また、collected books あるいは、collected works と言うと、ある一人の高く評価されている作家もしくは著述家の「全集」と言う意味です。(collected は「集められた」という意味です。collect の過去分詞が形容詞として使われています。)しかるべき出版社から委嘱された見識のある編集者が、自分の判断と責任において、特定の作家や著述家のめぼしい作品をすべて収集し、全集本として刊行したものを指します。ここでも、編集者のセンスや経験、またビジョンが問われます。また、絵画の収集についても、集める人のセンスや経験、またビジョンが問われます。実際には、例えば財界の大物などが、しかるべき人に依頼して、金を惜しまず、本当に買う価値のある物のみを、相当数まとめて買い求めさせるのです。例えば、こうして戦前に収集された松方コレクションなどは、今日なお、収集者のセンスが高く評価されています。

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