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英語リスニングの難しさについて

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英語リスニングはなぜ難しいの?

英語リスニングはなぜ難しいの?

2021/02/23

英語リスニングはなぜ難しいの?

音の壁は破れるか?

 

英語のむずかしさは一口では語れません。英語が母語の人、英語圏で長年暮らしている人、自分でそれなりに努力してきた人にとっては、英語は少しも、あるいはほとんど、難しいとは感じられないでしょう。でも、そういう人たちでも、個人によっては、英語についての感じ方や考え方が随分異なります。

それは、個人によって、英語を学ぶ目的が随分異なるからです。例えば、英語が母語の人でも、作家になろうとか、放送局のアナウンサーになろうとか、同時通訳者になろうとか考えている人は、現在の自分の英語力に全く満足していないかも知れません。

こんなことを言えば、何を笑止な、と一蹴されることは分かっていますが、ずっと昔、平均的な英語ネイティブスピーカーを負かすくらい綺麗な英語をしゃべるようになってやろうと、本気で英語の学習に取り組んでいた時期があります。やる気に火をつけたのはNHKの「英会話」のラジオ放送でした。

中学3年生の頃でしょうか、朝の7時から始まるNHKのラジオの「英会話」のことを知った私は、町の書店で毎月テキストを買い、月曜から金曜までその放送に耳を傾けました。毎週、水曜日ごろにはその週の会話を丸ごと暗記していました。日常のトピックを扱う生き生きとした会話が魅力的でした。何週間かごとに替わるゲストのアメリカ人女性の発音を聞き、多分、当時日本で一番発音の上手な日本人英語講師の発音を聞き、二人の短いしゃれた会話を聞き、それらのすべてにすっかり聞きほれていました。

高校2年の後学期だったでしょうか、兵庫県の北部の10校くらいの高校が組織している英語弁論大会に出場し、優勝しました。高校の英語の先生に学校代表で出場してみないかと言われて、用意されたスピーチの原稿を丸暗記して臨んだだけでした。まさか自分が優勝するとは思ってもみなかったのですが、でもこれが、少しばかり、英語への自信につながったのは確かでした。

しかし、本当の自信は別の機会に訪れました。多分、大学の一年生のとき、イギリスの高級英語学習教材であるリンガフォンとレコードプレヤーを買って、下宿で毎日その英語の音に耳を傾けました。当時、リンガフォンは、すでにSPではなく、1000回の使用に耐えるよう設計されたLPレコードで発売されており、耐久性がよく、音質も飛躍的によくなっていました。レコードは片面約3分、両面で6分で一課を構成していました。

レコードには、吹き込まれた英語に対応する、イラスト入りのハードカバーのテキストと説明書がついており、これらの教材一式が、立派なケースに入っており、その英語は、英語圏での生活を想定した様々なトピックを扱い、全部で15課から成っていました。私が買ったのは、「英語コース」ではなく、「米国コース」の初級でした。初めから、英語の音声そのものに最大の関心があったからです。内容は日常の会話を主体にしたもので、20枚ほどのレコードが入っていました。第一課は本当の基礎で、中学一年生の最初の授業の英語そのまま、と言った感じで、非常にゆっくり短い自己紹介などが録音されていました。

課を追うごとに、少しずつ語数も増え、スピードも増し、使われる構文もいつの間にか複雑になってゆくのでした。それぞれの課は、前半が説明文、後半が会話、という構成でした。全部通して聴くと1時間半ほどかかりました。私は、第一課から慎重に何回も聞き、あらゆる音を丸ごと受け止めることに徹しました。そこには、100パーセントの純度で、アメリカ英語が詰まっていました。中学3年のとき初めて聞いたNHKの「英会話」はアメリカ帰りの講師が声量豊かに、味のある声でアメリカ英語のすばらしさを満喫させてもらえる見事な講義だったので、大学1年の時、リンガフォンのアメリカ英語コースを買い求めるのに何の迷いもなかったのです。

各課ごとに、まず20回くらい聞いてから、今度は2,3秒遅れて、それまで何度も聞いていたその英語を、そっくりまねて発音する練習をしました。いわゆるシャドウイングではありません。その都度テキストを見ながら発音したからです。むしろ音読です。新しい課でも20回くらい聞くと、自分でも発音してみたい、という欲求がふつふつと湧いてきます。すると、頃を見計らい、満を持して発音練習に移るのです。最低でも20回は黙ってひたすら繰り返し聞かなければなりません。ひたすら聞く、と言う作業が、英語学習にとって、まさしく命そのものだと、いつの間にか、悟っていたのです。

一課の前半を聞き終わるのに一時間ほどかかります。それからまた小一時間ほど発音練習をします。これで終わりです。しかし、これを毎日繰り返しました。そして、約3年くらい続けました。多分、通算でおよそ500回ほど聞いたことになると思われます。

最後の方になると、レコードの音に遅れることなく、ぴったりかぶせて発音する練習をしました。レコードの音と一体になる感覚です。個々の母音や子音、イントネーション、息継ぎ、などがすべてぴったり一致するようにします。それはごく自然にできるようになります。注意だけは欠かせませんが、もはやいかなる努力もしているという感覚はありません。

ごく簡単に言えば、これが英語の音の壁を破る練習なのです。このレコードは、当時の高校の先生の初任給よりも高い高価な英語教材でした。しかし、この練習によって完全に元は取れたと思っています。NHKの「英会話」では、難しい発音は発音記号を駆使して、その都度懇切丁寧に教えてもらっていました。英語の物語などを読んでいて知らない単語に出会うと、必ず辞書を引いて意味や使い方を調べる一方、発音記号を確かめ、アクセントをも含めて、その都度正しく発音し、その音を体に覚えさせるようにしていました。これによって、自分の知っている単語は、常に、完全に正しく発音できるという自信がつきました。

単語によっては、英国発音とアメリカ発音で、かなり異なる場合もあります。例えば、can't はアメリか発音では、「キャーント」ですが、英語発音では「カーント」と発音されます。アクセントも異なる二通りのアクセントが、どちらも正しいという場合が結構あります。そのような区別は意味がないので、普通、誰からも無視されます。とがめだてするような事柄ではないからです。

でも、本当の音の壁はこれでは破れません。これは英語の初級、ただの出発点にすぎないのです。まだ、越えなければならな壁は山のようにあります。例えば、イギリスにはいわゆるロンドンなまりがあり、アメリカでは南部なまりがあります。あるイギリス人の英語教師が言っていました。日本の映画館で西部劇などの米国映画を見ると、最初の5分間は全く何もわからないのだそうです。5分ほど経過すると、少しずつ、薄皮をはぐようにぽつりぽつり理解できるようになるのだと。イギリス英語とアメリカ英語ではそれくらい異なるのです。

また、単語の中間に使われる t の音がd にしか聞こえないこともあります。このほうがむしろ正しいのです。また、What do you say? が「わりゅせーい」、What did you say? が「わっじゅうせーい」としか聞こえないとしても、むしろこれこそが正しいのです。また、water は「わら」としか聞こえませんが、これも正しいのです。なぜなら、これ以外ではまず通じないからです。

でも、実を言えば、 t の音は、使われる場所によって全く異なる発音になるのです。water において、t の音がd の音に変わるだけではありません。No, I can't do it. と言うとき、「ノオ、アイキャーン、ドゥーエ」としか聞こえません。つまり、can't の最後のt は、多くの場合、口の中に飲み込まれたように消失し,同じくit のt の音も、あえなく口の中で消失します。では、結局ネイティブの人たちは t の音を全く t 本来の音では発音しないのでしょうか。答えは否です。そんなことはありません。例えば、time の t は語頭に来るので、待ってましたとばかり、非常に明瞭に、[ t ] と発音します。結局ネイティブの人たちは、三種類の t を、 語頭と、語中と、語尾で、実に綺麗に使い分けているのです。

ところで、リンガフォンは、全編、全く正しいアメリカ英語発音で録音されいています。テレビやラジオの一流のアナウンサーや大学の音声学の教授たちが5~6名で、入れ代わり立ち代わり担当し、テキストを、細心の注意を払って、丁寧に読み上げているのです。これ以上はない陣容による、これ以上はない念の入れようなのです。であればこそ、アメリカ英語の神髄が聞けるのです。そして、この練習によって、私の体の中に英語の音の原形、その基本DNAが、ものの見事に埋め込まれたことは確かです。これこそが、英語を内発的にしていきます。逆に言えば、日本語発音のDNAは、ただのひとかけらも残ることなく、完全に払拭されるのです。

ただ、先ほどの続きですが、リンガフォンの初級コースでは越えられない、さらなる音の壁があります。

その一つはスピードです。たとえば、映画の英語のおよそ95パーセントは、そのスピードが、圧倒的に早いのです。人々が息もつかせずしゃべりまくる(という風にしか聞こえない)場面が次々に出てきます。映画の英語は実社会の英語です。そこで使われている英語のスピードには、リンガフォンの初級英語のスピードでは、まったくもってついていけません。

さらに、実社会といえば、いろいろな分野で使われる耳慣れない専門用語や慣用句が山ほど使われます。それは語義と語彙の、目もくらむ広大な領域です。初級英語では歯が立たない、複雑で入り組んだ構文が、険しい山脈のように立ちはだかる領域です。それらを超えていかなければ、話されている英語の、ほんの一部しか聞きとれないとしても無理はないのです。

さて、弊社の提供する国際遠隔授業では、海外の講師による、文化や社会や歴史に関する興味深い講義が英語で聞けます。初級英語を卒業し、中級英語を終わるころには、これらの講義をぜひ受講してみてください。弊社が提供するもう一つのコースは、オンライン英語講座「EasySpeak English」です。ここでは、初級英語、中級英語、初級英会話、中級英会話、上級英会話、ビジネス英語初級、中級など、英語を学ぶことに特化した各種の英語力養成コースが用意されています。私を含めて日豪4人の講師が在籍しています。4月から5月初旬にかけて、受講生を募集します。ご期待ください。

 

 

 

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