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修飾語って何?

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修飾語句って何ですか?

修飾語って何?

2021/01/03

修飾語句って何ですか?

英語の原義から考えてみると・・・

英文法用語の一つに「修飾語句」がある。それはなぜそのように呼ばれるのか。元の英語は何と言ったか、から考えてみよう。修飾語句は、原語ではmodifier と言う。modify するもの、と言う意味である。そして modify は、「制限する」「限定する」「緩和する」などの意味で使われる。文法用語としてのmodifier は、何かを限定する語句のことである。例えば、「あそこに咲いている赤い花「」といえば、話者からそう遠くない距離のある場所に咲いている赤い花を指す。「あそこに」は、花が咲いている場所を限定し、「赤い」は、そこに咲いている花の色を限定する。では、このように限定することはなぜ必要なのか?それは、例えば、「あそこに咲いている赤い花、ほんとにきれいね。何という名前なのかしら。」という風に、その花に関心を持ち、さらなる情報を求める気持ちを表現したいときに使われるのである。

言葉はそもそも人が何かを、あるいは誰かを、他の物や人の中から選別し、聞くものの注意をある一点に集中させるために使われる。どんな単語でも句でも、それが選択的に使われたとたんに、その言葉を使った人の意図や感情が聞き手に伝わる。言語一般の持つ選別、もしくは選定機能が、特定の言語において、話者の意図を踏まえて作動するとき、その言語を共有する聞き手に何らかのメッセージが伝わる。一般に、話し手が多くの言葉を選び、物事の区別がより細かくなってゆくにつれて、いつかは修飾語句の出番が来る。

ところで、「修飾語句」という名称は、それがあくまでも本体の飾りにすぎないことを明確に示している。そして、多くの場合、飾りがあるのとないのとでは、本体の印象は大きく変わりうる。重要なことは、飾りは本体あってこそ、その本質を発揮できるということである。飾りだけでは、何物も飾ることはでいないからだ。では、飾りが生きるために必要な本体って、何だろう。それは、文である。もっと言えば、飾りが本来の働きをするのは、文の本体に対してである。そして文の本体とは、文の要素を備えた文の骨格部分、すなわち五文型である。また、文の要素とは、「主語」「動詞」「目的語」「補語」の四つである。そして、本体の一部、もしくは全体を「修飾する(modify)」する語句を「修飾語句」というのである。「修飾語句」の必要条件は、それが文の要素ではない、ということである。また、「修飾語句」の十分条件は、それが同一文中の名詞または動詞を「修飾する」ことである。

「修飾語句」の難しさは、それが単語レベルから句レベル、さらには節レベルに及ぶからである。逆に、「修飾語句」の分かりやすい部分は、それらはすべて形容詞か副詞の働きをすることである。すなわち、形容詞、形容詞句、形容詞節、もしくは副詞、副詞句、副詞節のいずれかである、という点である。日本人学習者に特に難しいのは、前置詞句とto 不定詞である。なぜなら、前置詞の数は日本語の「てにをは」の比ではなく、30以上あるからである。また、to不定詞は名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法、の他に、用法を特定するのが難しいつかいかたのものまであるからである。一方、前置詞句とto不定詞は極めて多用される。修飾語句と言えば、反射的にこの両者が思い浮かぶほど、修飾語句の王様なのである。

ところで、前置詞句や to 不定詞は、なぜ英語においてそれほど頻繁に使われるのか。それは、多分、文レベルの情報を、何らかの事情で句のレベルにまで圧縮する必要から生じたからである。圧縮は情報の圧縮につながり、コミュニケーション効率を格段に押し上げる。例えば、It seemed to me that he was quite satisfied with his recent success in business. は、He seemed to have been quite satisfied with his recent success in business. と言い換えることができる。前者に残る二文の痕跡は、後者では完全に消えている。圧縮の効果は十分だ。同様に、Pass me the salt which is on the table.は、Pass me the salt on the table .と言い換えることができる。He went out of his house and never came back.はHe went out of his house never to retrun. と言い換えることができる。また、To see her was to love her. は、元来は、例えば、Any one who saw her surely loved her. であった。

前置詞句は先行する名詞、もしくは動詞を修飾し、to不定詞は、名詞的用法では主語や目的語や補語として使われ、形容詞的用法では名詞を、副詞的用法では動詞を、それぞれ修飾する。つまり、あらゆる名詞や動詞は、修飾語句によって、いかようにも重ねて限定され、限定されることによってより細かく定義されるのである。それはコミュニケーションの精度を上げることであり、複雑化する現代社会のニーズに遅れないように、様々な限定法が考案された中で、第一次的な限定語である形容詞や副詞の拡張語句として、前置詞句や to 不定詞が頻繁に使われるようになったと考えられる。

勿論、限定語句としては、関係代名詞を使った形容詞節や関係副詞を使った副詞節も、同時に視野に入れて考えなければならない。これらも立派なmodifier だからである。しかし、関係代名詞や関係副詞が発明されてからも、しばらくは前置詞句はそれほど発達しないまま経過した可能性がある。例えば、The number of people who live in Gifu city is about 400,000.は、もっと普通に、The population of Gifu city is about 400,000. と言えるからである。効率よく限定を加え、スマートにコミュニケーションの実を上げる。これが現代英語の流儀である。

それにしても、文副詞や文副詞的に用いられる副詞句、また副詞節を除けば、句レベル以上の modifier は、例外なく名詞もしくは動詞の後ろに置かれる。このことは、英語語順の鉄則として銘記されるべきである。他方、単独の形容詞の99%以上は、名詞の前に置かれる。英語のこの特色に対して、日本語では、いかなる形容詞も形容語句も、すべて名詞の前に置かれる。これは逆に日本語語順の鉄則である。したがって、英語を学ぶ日本人は、日英間のこの明確な言語的対照性を含めて、英語の句レベルの modifier 、並びに関係代名詞や関係副詞を従えた従属節の、文中の語順は、英語語順の鉄則性という視点に立って、一体的に学ばれてしかるべきである。

 

 

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