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英語母音攻略法:二つの「ウ」音について

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英語母音攻略法:二つの「ウ」音について

英語母音攻略法:二つの「ウ」音について

2022/04/22

good の発音の意外な難しさ

英語母音:二つの「ウ」音について

1.英語母音の難しさ:「ウ」音の場合

 日本人にとっての英語母音の難しさは、いろいろな場所に潜んでいます。予想しうる危険性を知らないでいると、思わぬところで二度三度と足を取られます。危険性の一つは英語発音における二種類の「ウ」音です。これは前回のブログで解説した、英語発音における二種類の「イ」音とペアーになっています。二種類の「イ」音として、すでに私たちは、緩んだ「イ」と鋭い「イ」の区別について学びました。例えば、lead (指導する、リードする)と lid (蓋)、keen (熱烈な、俊敏な)と kin (親戚)、heap (堆積)と hip (お尻)、 leap (跳躍する)とlip (唇)などの区別は、ひとえに二種類の「イ」音を正しく発音できるかどうかにかかっています。そして今日ご紹介するのがこれと瓜二つの区別、すなわち、二種類の「ウ」音の区別です。例えば、pool (プール)と pull (引っ張る)、fool (馬鹿)とfull (一杯の)の区別は、二種類の「ウ」音を正しく区別して発音できなければ、誤解を生みます。

 もう10年以上も前のことでしょうか、テレビの画面いっぱいに、眼鏡をかけた年配のアメリカ人女性が現れたかと思うと、思い入れたっぷりに私たち視聴者を覗き込みながら、大きく、ゆっくり、"Good!"と一言だけ言う場面が強く印象に残りました。今では、何が "Good" だったのか、それが何の番組のコマーシャル だったのか、全く思い出せませんが、「good の発音はこの通りなの。この微妙な口の開き加減と一緒に、この音をしっかりおぼえておくのよ」、と言っているように聞こえました。そして、「そうそう、good の発音は意外と難しいからな・・・」と半分感心しながら、妙に納得したことを今でもはっきり覚えています。

 「ウーマン・リブ」という言葉は「女性解放運動」という意味で、日本語の一部になっていますが、元の英語は women's liberation のはずです。自分たち女性は、男性社会の総てのしがらみから解放されるべきだ、という主張であり運動でした。当然 womenという複数形がつかわれていたはずなのに、日本語になると、なぜか単数形の woman を「ウーマン」と片仮名で表記して使っているのが気になります。でも、それはさておき、「ウーマン」は間違いのもとになります。なぜなら、woman の正しい発音は発音記号で表記すると/wumən/ であり、決して/u:mən/ではないからです。

 間違えやすいのは /w/の音です。この音はrequestやqueen やquestion にも出現します。勿論、we やwill やweek にも使われます。日本人には /w/の音は「ウ」にしか聞こえませんが、実際は母音の仲間ではなく、子音なのです。なぜ /w/ の音が母音ではなく子音なのかと言えば、ちょうど /j/の音が、「イ」よりもさらに舌の表面と硬口蓋の間が狭くなって、連続的(=安定的)には出せないと認識されて子音に分類されたように、 /w/の音も、この音を出す際、唇のすぼめ方が余りにもきつく、連続的に音が出せないと認識されたからです。ですから、/wu/という音は、子音+母音、という構造を持っており、一音(節)と数えます。ところが、呑気に長母音的に「ウー」と片仮名表記すれば、日本語に取り込まれ、音の長さも二音に勘定されます。

 もうお分かりのように、woman に含まれる「ウ」音も、good に含まれる「ウ」音も同じなのです。いずれも、発音記号で表示すれば /u/となります。そして、これは /u:/の音とは異なる音です。/u/ は緩んだ「ウ」音であり、/u:/ は緊張した鋭い「ウ」音です。緩んだ音というのは、口のすぼめ方が、鋭い「ウ」音より少し大きいという意味です。

2.スペリング "oo "に対応する二種類の「ウ」音

 ここでちょっと面白い話をしましょう。スペリングを見ただけでは、二種類の「ウ」音を見分けるのは難しいというお話です。実は、good とか look など身近な語によくみられる "oo" という スペリングに対応する発音は、ある幾つかの語では /u:/ と鋭く発音され、別の幾つかの語では緩く /u/ と発音されます。以下に挙げた二種類のグループを見比べてみてください。

 1./u:/  room, cool, school, mood, food, pool, stool, tool, fool, loop, spoon, moon, noon, smooth, shoot, root, stoop, scoop

    2.  /u/         foot, soot, hood,  good, wood, stood,  hook, look, rook, cook, took, shook, nook, cooky, moor, poor

 一見すると、二種類の発音を分ける基準も原則もないように見えます。しかし、よく見ているとそこにはある法則のようなものが存在していることが判明します。

  a.  "l", "m", "n", "p", "t", "th" で終わる語は /u:/ と発音される。

        b.  "k", "ky", "r" で終わる語は /u/ と発音される。

        c.  "t" で終わる語のうち、"sh" または"r" で始まる語は/u:/と発音される。

  d.  "t" で終わる語のうち、"f" または"s" で始まる語は /u/ と発音される。

  e.  "d" で終わる語の内、"m", "f" で始まる語は/u:/ と発音される。

  f.  "d" で終わる語の内、"h", "g", "w", "st"で始まる語は /u/ と発音される。

 これらの法則性は、"oo" を含む語の構音を担う個々の子音の発音に際して、唇や舌や口腔内の筋肉のどの部分が使われるかによって異なる使い勝手の良さ、すなわち、それらの子音は、それらが発音される際、/u:/ と/u/ のうち、いずれになじみやすいか、あるいは、どちらの場合によりスムーズに発音できるか、に左右されたものと推察されます。

 ただし、/u:/ も /u/ も、"oo" 以外のスペリングに対応して発生する事例が沢山あります。例えば、

  a.  /u:/     stupid, cube, cute, mute, womb, tomb, coup d'etat, group, troup, shoe, absolute, resolution, computer, few, lewd, rude, brute

        b.  /u/     could, should, coupon, put, 

などがそうです。

 ただ、room やcoupon の場合は、/u:/ と/u/の両方が辞書には記載されており、人によって、国や地域によって、また状況によって、異なる発音をしている可能性があります。

 

 

 

 

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