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f, v, の音の出し方について

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f, v, の音の出し方について

f, v, の音の出し方について

2021/12/25

f, v の音の出し方について

唇を嚙まず、軽いタッチで f 音を出す

 1.日本人を最初に躓かせる英語の音:/f/ と /v/

  日本人が、英語を本格的に学ぼうとして、最初に躓く発音の一つは、 /f/の音 です。この音はアルファベットの f に対応しています。そして、アルファベットの v に対応している/v/ の音も、 /f/ 同様に躓きやすい音です。二つは構音が瓜二つなので、私は兄弟音と呼んでいます。

 ところで、日本人が、 /f/ に限らず、実に多くの他の英語の発音にも躓くのは、英語が、日本語には存在しない数多くの音を出すよう求める言語だからです。そして、勿論、英語にはある /f/ の音も/v/ の音も、日本語には存在しません。

 しかし、ここに一つ興味深い事例があります。私の目に触れた限りですが、「富士山」の英語表記は、Mt Huji ではなく、なぜか Mt Fuji となっている事実です。アルファベットの f に対応する音は、本来、日本人には出すことができないのですが。

 これは、外国人が日本を海外の人たちに紹介する記事などで使われてきた特別な表記なのかも知れせん。確かに富士山は、北斎の「富嶽三十六景」を通じて、多くの外国人の心をすっかり魅了し、今や、日本を象徴する霊峰です。といっても、富士山は日本の山ですから、 日本語に無い f の音に手を出さず、日本語の「ハ行」の音を生かして、Mt Huji と綴るべきだったのです。外国人の助言に耳を傾け、敢えてこの表記を取り入れたのでしょうか。それとも、Mt Fuji の方が、何となくかっこよく思われ、我を忘れて背伸びをしたのでしょうか。

 2.日本語における片仮名の位置

 片仮名は、主として、英語に限らず、外国語の発音を写し取る手法(音写法)として、極めて便利につかわれています。日本に導入したい外国の言葉が目の前にあり、まだ漢字を使った翻訳語が考案されていない場合、その語をよく知る専門家が、熟慮の上、日本人に発音可能で、かつ原音に忠実な片仮名を割り出し、日本語の語彙に加えようとするのです。そして、多くの場合、見事に成功しました。例えば、英語では、モスクワは、Moscow、パリは、Parisと綴り、発音は「モスコウ」、「パリス」となります。しかし、実際には、「モスクワ」や「パリ」の方が、現地の人の発音に近いのです。

 こうして、アメリカ、フランス、ロシアなどの国名、ロンドン、サンフランシスコ、ニューヨークなどの地名、パン、コーヒー、カレーライス、ビスケット、ベーコン、ハム、チーズ、スプーン、ナイフ、フォーク、テーブル、ナプキン、メニュー、レストランなどの食事関連の言葉、カルテ、ドクターヘリ、ナースステーション、オミクロン株、ワクチン、パンデミックなどの、医療や感染症に関する言葉をはじめ、他のあらゆる分野の先端的な、外国由来の言葉が、数限りもなく、片仮名で表記されるようになりました。

 今や、これらの言葉の多くは、れっきとした日本語の一部となって、日常のコミュニケーションを支えています。スマート・シティー、デジタル化、オンライン教育、テレワークなど、つい最近使われるようになった言葉と、その便利さを思えば、「片仮名ワールド」のフットワークの軽さに、だれしも舌を巻くでしょう。

 私たちにとって、音写法としての片仮名は、恐らく世界でも稀にみる簡便さと可塑性に富んでいます。あまりにも便利、かつ有効なので、「片仮名信仰」と呼びたくなるような、片仮名への絶対的依存体質が現代の日本に定着しています。日本人は、心理的に、「外国語=片仮名」という公式から逃れることは難しいのです。しかし、片仮名のこの抜群の便利さ、有効性は、実は、私たちの本格的な英語学習にとって最大の足かせとなり、躓きのもとになっています。そして、それが、結果的に、日本全体に対して、空恐ろしいほどに巨大なマイナスとなり、深刻な損失を引き起こしているのです。

 3.片仮名表記の限界

 例えば、light(光、火をともす、軽い) とright (右、権利、正しい)は、英語では、意味も発音も異なる二語ですが、片仮名で読み方を表記すると、どちらも「ライト」となります。本格的に英語を学ぶ人は、良く使われる英単語の品詞、意味、スペリングだけでなく、発音をも正しく覚えなければなりません。しかし、こと、発音の学習に際しては、読み方の分からない単語に、片っ端から、片仮名でルビを振っていると、遠からず、絶対的な限界にぶち当たります。

 分かりやすい例を挙げてみましょう。次の四つの単語、すなわち、low(低い)、row(漕ぐ)、law (法律)、 raw(生の)を見てください。これらの単語は、お分かりのように、すべて意味はバラバラです。スペリングも決して同じではありません。そして、何と、発音も全部、きれいに、異なるのですが、片仮名発音に固執していると、いずれも「ロー」で済ますことになります。しかし、繰り返しますが、英語の発音は、すべてきれいに異なります。例えば、各語の冒頭を占める "l" と "r" の二種類のアルファベットに対応する二種類の音は、英語ではしっかり区別されます。また、ow とaw のスペリングに対応する英語音も、極めて明確に区別されるのです。

 でも、日本語には、これらの発音上の区別機制がもともと存在しないために、片仮名表記では、それらの違いを表記によって区別することができないのです。そこで、日本語では、 "l" と "r" の違いには、あえて目をつぶり、「ラ行」の音ですべてをカバーしようとします。また、ow(/ou/) と aw (/ɔ:/)の発音の区別にも日本語は関心を示しません。例えば、law school(法律専門学校)は「ロースクール」と表記される一方、owner (所有者)も「オーナー」と表記されます。せめて、二重母音と長母音の区別に対応する「オゥ」と「オー」の表記分けくらいはあってもよかったのですが。

 4.f 音と v 音への日本語の対応

 ところで、今日取り上げた英語発音の練習課題に話を戻すなら、日本語では、/f/ や /v/ に近い音として、「ハ行」とその濁音(「バ行」)を活用します。しかし、これらの音でカバーできるのは、アルファベットの h とb に対応する音に限られます。house は「ハウス」、basketball は「バスケットボール」と表記しても違和感はありませんが、/f/や/v/が含まれる語の場合には、何らかの工夫が必要です。そこで、「ハ行」とその濁音を上手に使いまわして、事態を打開しようとします。

 例えば、 five は「ファイブ」と片仮名表記されます。これは「ハイブ= hive (巣箱、ハチの巣)」と発音の上で区別されるので、一見、すべてきれいに解決できたように見えます。しかし、本当は、「ファイブ」の「フ」は「ハ行」の音(英語で言えば /h/ の音)に対応しているため、実際の英語発音を捉えきることはできないのです。

 一方、英語における f/h の発音の区別には、水も漏らさぬ厳格な構音上の切り分けが担保されており、その結果としての見事な区別事例が多数存在します。例えば、foam(泡)/  home(家、家庭)、fill(満たす)/ hill(丘)、fall(落ちる)/ hall(ホール、玄関)、fail(失敗する、弱る)/ hail(雹)、few(わずかの)/ hew(たたき切る)、foul(汚い) / howl(吠える) 、feel(感じる)/ heel(かかと)、feat(手柄、功績)/ heat(熱) などがそれに該当します。これらのペアーにおいては、f/h の発音の区別が、構音による、しかるべき切り分けによって100%担保されています。それなくしては、各単語の単語としての存立が担保されず、引いては、英語という言語への、基本的信認そのもが、もろくも崩れ去ります。

 他方、v/b の区別も f/hの場合 と同様、極めて厳粛に、きちんと区別されます。例えば、very(非常に)/berry(木の実)、vote(投票する)/ boat(ボート)、vox(声)/ box(箱)などがそうです。

 5.f 音と v 音への日本語の独自対応

 しかしながら、日本語は、有効範囲は限られていますが、ある有力な方策を用いました。すなわち、/f/音には「ファ」「フィ」「フ」「フェ」「フォ」を用意する一方、/h/ 音には「ハ」「ヒ」「フ」「ヘ」「ホ」を充てたのです。例えば、fire (火)は「ファイヤー」、hire(雇う、ハイヤー)は「ハイヤー」と表記します。また、form (形式、フォーム)は「フォーム」、home(家、ホーム) は「ホーム」、fit (ぴったり合う、フィット)は「フィット」、hit (打つ、ヒット)は「ヒット」とすれば、見た目にも発音の上でも、きれいに区別できます。一見、見事な工夫と言えます。

 しかし、これで問題がすべて解決したわけではありません。というのも、「フ」にはこの手は通用しないからです。例えば、food(食料、フード)とhood(頭巾、フード)は、片仮名では、いずれも「フード」と表記するほかなく、視覚的にも聴覚的にも区別がつきません。

 他方、日本語は、/v/音のために「ヴ」を用意し、/b/音の「ば」「び」「ぶ」「べ」「ぼ」と区別しようとしました。例えば「ヴァイオリン」(=violin)、「ヴィンテージ」(=vintage)、「ヴィラ」(villa)など、こだわりの表記が一定程度普及し、v/b の区別に貢献しているように見えます。でも、実際のところ、「バイオリン」という表記も「ヴァイオリン」と並行して存在します。使用頻度では、「バイオリン」は「ヴァイオリン」を上回っているかも知れません。

 6.日本語表記の限界と片仮名表記からの脱却

 以上に見た、f 音と v 音への、日本語の機転を利かせた独自対応を総合的に評価するなら、一部に、極めて有益かつ興味深い工夫がみられるものの、全体としては、「ハ行」とその濁音で 英語の f 音とv 音のすべてをカバーすることには、やはり無理がある、と言わざるを得ません。あえて、強行突破すれば、どこかにゆがみが生じます。すでに、food とhood の場合を見ましたが、他にも、例えば、 glove(グローブ、手袋) と globe (地球)はともに「グローブ」と表記され、valley (谷)とballet もともに「バレー」(ただし、後者はしばしばバレエと表記される)と表記されます。

 また、片仮名表記を過度に信頼し、依存体質から脱却できないならば、日本語に存在しない f や v の発音を、見て見ぬふりをすることに繋がり、コミュニケーションの質が下がるだけでなく、将来、思わぬ落とし穴に陥る危険すら予想されます。例えば、 hate(憎む、嫌う)と fate(運命)、hue(色合い、色調)と few(わずかな)、hind(後ろの)と find(見つける、発見する)などの差異が瞬時に聞き分けられなければ、また瞬時に区別して発音することが出来なければ、英語によるコミュニケーションに、かなりの支障をきたしかねません。

 こういうわけで、英語学習の初期段階での英語発音の片仮名表記に一定の便利さがあるからと言って、また、現行の日本の学校教育の現場で、日本語に存在しない英語音に対する対策が、ほぼ全面的に欠落しているからと言って、安易に絶望したり、f 音や v 音の正しい学習を早々と諦め、発音難民に甘んじていてよい理由にはなりません。私がこれから申しあげる手順を踏んで、一定期間、地道に訓練し、 f 音や v 音をきちんと身につけさえすれば、そこを足掛かりに、その先どこまでも続く、しかし決して踏破不可能ではない、英語発音の頂点征服への王道が、目の前にさっと開けてきます。

 7./f/ の音の正しい出し方

 まず、今日の課題の第一のポイントは、/f/ と/v/ はペアー音だということです。これは、両者をペアーにして練習するのが望ましいという意味です。ペアー音は、構音が全く同じか、互いに極めてよく似ている音のことです。ですから、無声子音 /f/ を出すことができれば、その音をそのまま有声音にするだけで、/v/の音を得ることができます。したがって、ここでは、 /f/ の音の出し方のみを説明します。

 /f/ の音を出すには、上の前歯を下唇の中ほど、もしくは少し内側に押し当て、空気の出を一旦軽く止めておいてから、吐く息を、上の歯と下唇の間の、ほんのわずかな隙間から外に出します。息が外に漏れ出る際に、かすかな、こすれるような音が、継続的に出ているかどうかを確かめてください。吐く息のタイミングと、上歯が下唇に当たる際の圧力とを微妙に加減しながら、こすれる音がしっかり、安定的に響くように心がけます。(このこすれる音は、自分の息の続く限り、安定的に継続させることができる音なので、私が以前のブログで定義した「連続性子音」の資格を持っています。)

 8.注意事項

 ところで、この子音には、注意しなければならないポイントがあります。以下に述べる私の経験から、それが何なのかを学び取ってください。

 私は、英語の発音を学び始めてから長い間、f の音、並びに v の音は、上前歯でしっかり下唇を嚙み締め、息を強烈に発することでのみ、正しい発音ができるのだと思っていました。学校で教わったのか、ラジオの英会話で学んだのか、今では思い出せませんが、かなり長い間そう信じていました。しかし、あるとき気づいたのは、f も v も、唇を噛むのではなく、わずかに上歯を下唇に触れるだけで、無理なく発音しているということでした。肝心なのは、唇を強く噛むことではありません。h の音や b の音と、f や v の音が、それなりに、きれいに区別できているかどうかがポイントなのです。思うにそれは、私が何年もかけて、この音を一定回数、愚直にこなした後、いつの間にか身についた知恵だったのです。

 9.完成形の f と v の発音

 これらの音が自分のものになっているかどうかは、それらを自然に他の音と区別できているか、という一点にかかっています。それがきちんと自然にできていれば、もはや取り立てて意識しなくても、f とv は、常に正しく発音できています。しかし、それが確立するまでは、いわば仮免許時代ですから、発音するたびに、上歯と下唇の接触を意識し続けなければなりません。完成形の f と v は、上歯が下唇のかなり内側に、少し触れるか触れないかの一瞬で、勝負が決まります。そこに触れることは触れるのですが、余りにも軽いタッチなので、タッチしている本人は、そのことに微塵もストレスを感じないのです。触れ方が自然で、ストレスが最小になるポイントは、人によって微妙に異なります。それが自然なのです。要は、自分に合った接触ポイントを探し出し、ストレスを最小にしながら、縦横に、f と v の発音を楽しむことです。

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