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s, sh, th の音の出し方について

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s, sh, th の音の出し方について

s, sh, th の音の出し方について

2021/12/03

s, sh, th の音の出し方

日本人の発音の問題点をチェックする

1./s/ の音の難しさ

 日本人にとって、発音するのが最も難しい子音は、ひょっとしたら、アルファベットの "s" に対応する子音、すなわち、/s/ではないかと、私は密かに思っています。でも、その理由を述べる前に、それが、どんなところに現れる音なのか、簡単な例を挙げて見てみましょう。

 例えば、Could I have a sheet of paper? (紙を一枚もらえませんか?)とWon't you take your seat ? (椅子におかけになりませんか?)の二つの文で、sheet(薄板、[紙などの]一枚)とseat (座席、席)は同じ発音ではありません。アルファベットの"s"に対応する音は後者のseat の頭の音です。そして、残念ながら、日本人にとって、発音することが極めて難しいのはこの音です。

 「"s"と"sh"では、スペリングが違うから、発音も異なるだろう」と目ざとく気付かれた方もいらっしゃるでしょう。でも、実際に seat を発音するとなると、そこには日本語には存在しない音が含まれているため、きちんと、一通りの訓練を経た者でないと、決して正しくは発音できないのです。

 sheet については、日本人はよく知っている単語なので、普通に「シート」と発音します。次に、seatは、例えば自動車のseat-belt は「シートベルト」だから、「ベルト」を取って、「シート」と発音します。これが、「平均的な」日本人の「常識的な」判断というところです。仮に、seat の発音が少し気になったとしても、seat が「座席」だということぐらい百も承知なので、わざわざ発音の確認のためだけに辞書を引くのは少々面倒だと思ったとしても、「常識的」には仕方がないのです。

 しかし、その一手間を惜しんだため、英語の"s" の音が正しく出せず、コミュニケーションに支障をきたすとしたら、話は別です。

 でも、「それって、まるで、キツネにつままれたような話だ。そもそも、seat とsheet の発音が違うというのは本当なの?」と、私の言っていることを疑い、いぶかしく思う人も多いはずです。あるいは、一歩譲って、seat とsheet が全く異なる子音を含むとして、日本人がそれを区別することができないはずはない、と言い張る方もいらっしゃるでしょう。「だって、signとshine はまちがいなく区別できるはずだ、自分も区別している、それに、kiss が発音できない人もいるはずがないし、same とshame の発音を、ちゃんと区別して言えない人もいないはずだ」と、息まく人も多いはずです。確かにその通りです。日本人は、signとshineなら、簡単に区別できます。kiss も大丈夫です。same とshame も同様です。

2.日本人がseat とsheetの区別ができない理由

でも、日本人にseat とsheetの区別はできません。理由は次の通りです。この問題の核心は、逆説的に聞こえるかもしれませんが、「"s" を含む英単語のほとんどは、sign とshine 、あるいはsame とshame のように、日本人にとって、何ら問題なく、きれいに発音できる」という点にあります。これこそ、日本人が、あるいくつかの事例に限って、"s"と"sh"の区別ができない、隠れた理由なのです。こうして、"s" を含む英単語の95%は全く問題ないのに、残りの数パーセントの単語に限って、日本人は躓くのです。たった5%の単語なら、コミュニケーションにそれほど影響は与えないのでは、と思われるかもしれません。

 しかし、その5%には、日常的によく使われる単語が意外に多いのです。このため、日本人はスペリングに"s" を含む英単語の発音が必ずしも正確ではないと、耳の敏感なネイティブの英語話者たちに確信させてしまうのです。

 こうなると、日本人が、ある種の単語において、"s" と"sh" の発音の区別がなぜ難しいのか、その理由を追求しなければなりません。しかし、その原因は、あっけないほど単純で、身近なところにあります。

3.日本語の「サ行」の変則性

 アルファベットの"s" の音は、発音記号で表記すると/s/となります。日本語のサ行に共通に含まれる音と同じです。ところが、日本語の「さ」「し」「す」「せ」「そ」の音は、発音記号で示すと、/sa/ 、/ʃi/、/su/、/se/、/so/となります。ここで私たちが直ちに気付くのは、「し」は/si/とイコールではない、ということです。「し」は、むしろ、/ʃ i/という音とほぼ同じなのです。

 なぜこのような変則性が生まれたのか、日本語の発音の変遷の歴史に学ぶ必要がありますが、奇妙なことに、日本語の五十音図では、子音+母音=仮名一文字、という規則が堅持されているため、変則性の存在自体が、故意か偶然か、隠蔽されています。変則性は、五十音図をローマ字表記すると、すぐに浮かび上がります。例えば、「か行」をローマ字で書くと、ka,  ki,  ku,  ke,  ko となります。「ま行」は、ma,  mi,  mu,  me,  moとなります。変則性はどこにもありません。ところが、「さ行」は、sa,  shi,  su,  se,  so となります。つまり、「さ行」だけ、他はすべてs の音なのに、「あいうえお」の「い」の段に、 sh の音が紛れ込んでいるのです。

 これは、五十音図にこそ現れていませんが、日本語にも、shの音のあることを、さ行の「し」が示している、ということかもしれません。shの音は、日本語にもふんだんに使われ、sの音と区別して使われています。例えば、社会(しゃかい)、示唆(しさ)、趣旨(しゅし)、処方(しょほう)などがすぐに思い浮かびます。ただ、面白いのは、Shakespeare (しぇいくすぴあ)の場合には、「しぇ」が確かに使われますが、日本語に限ると、「しぇ」という発音を含む語はすぐには見当たりません。よく使われるのは、「しゃ」「し」「しゅ」「しょ」のみです。推測ですが、「え」の段が欠けている「しゃ」行を五十音図に入れるわけにはいかなかったものと考えると辻褄が会います。これは五十音図の限界かも知れませんが、日本人が日本語を覚えるときに五十音図が大変大きな意味を持ったことは否めません。でも、このような事情が日本人の英語学習にエアーポケットのような空白をもたらしていることを忘れてはなりません。s音に「あ」「い」「う」「え」「お」の基本母音をくっつけることで構成されるべき「サ行」の「い」の段に、sh の音が紛れ込んだ変則性については、これでご理解いただけたことと思います

4.日本人はshe とsee(またはsea)の区別ができない 

 さて、その結果、日本人はshの音を含むshe (彼女)を「シー」と発音します。そして、「シー」は、発音記号で表記するなら/ʃi:/ に近い音ですから問題はありません。ところが、sea やseeについては、当然、/si:/と発音すべきなのに、/s/の音を学んだことのない日本人は、「シー」と、同じ発音をして、誤魔化し、切り抜けようとします。このような次第で、日本人は、she と、sea (あるいは see )との区別ができない人たちですね、と評判を落としてしまうのです。

5.日本人が /s/ の音を正しく発音できない単語の例

 単に、sea やseeだけではありません。sing(歌う)も、sick(病気の、気分が悪い)も、season(季節)も、sink(沈む、沈める)も、sit(坐る)も、simple(簡単な)も、sympathy(共感)も、single(一つの、独身の)も、seal(封印する)も、sin(罪)も、symbol(象徴)も、passive(受動的な)も、assassin(暗殺者)も、日本人は、決して、正しく発音できません。

 それに、問題をもう一段難しくするのは、/s/の音はスペリングの"s"に限定されない、という事実です。アルファベットの"c" を含む語にも関係することがあります。例えば、cell(細胞)の発音は/sel/です。また、excellet の発音は/eksələnt/です。日本人は これらの語の発音で躓くことはありません。でもほかの語で躓くことはあり得ます。例えば、receive は、「レシーブ」と発音すると、「シー」の音が入るため、上に述べたのと同じ理由によって、日本人は/resi:v/と、正しく発音することができません。他にも、cease、decease、conceive、proceed 、perceive、receit 、pacificなどの語も、同じ理由によって、正確に発音することはできません。

6.ペアー音の問題

 最後に、もう一つ、ペアー音の問題があります。ペアー音は、似た者同士の兄弟音でもあります。例えば、/s/は無声子音です。/f/も無声子音です。また、/p/も無声子音です。ところが、これらの子音には、それらを有声化した子音が、それぞれのペアー音として存在します。つまり、/s/の有声化子音としての/z/、/f/の有声化子音としての/v/、/p/の有声化子音としての/b/が、それぞれ存在します。肝心なのは、これらのペアー音は、発音の仕方が、互いに、兄弟のように瓜二つです。ただ、無声音か有声音かの違いがあるだけです。

7.s のペアー音

 ですから、/s/において存在した問題は、/z/においても存在しうるということです。実際、/si/もしくは/si:/の音が日本人に出せなかったように、まだ、本格的な、正しい発音訓練を受けたことのない日本人は、/zi/も、/zi:/も、けっして正しく発音することはできません。たとえば、zebra(ゼブラ、シマウマ)、zeal(熱意)、zero(ゼロ、零)、zipper(ジッパー、チャック)などを正しく発音することはできません。

8.日本人が /s/の音をマスターできる唯一の方法

 では、日本人がこれらの語を正しく発音できるようになる手立ては、あるのでしょうか。一つだけあります。それは/s/の発音を、「独立した子音」として学びなおすことで可能になります。そして、そのためには、すべての子音を独立的に学ぶ手法を確立しなければなりません。ペアー音を含めて、"s"に対応する音の総てを、正しく発音することができるようになるためには、一旦、/s/ の音を独立的に学びます。そして、/s/ の音を独立的に学ぶには、その音を、息の続く限り、無限に長く引っ張るつもりで音を延長する練習をします。なぜなら、/s/の音は、私の言う「連続性子音」だからです。「連続性子音」とは、「音質を変えずに、息の続く限り、コンスタントに、そのまま発音し続けることのできる子音」のことです。

 連続性子音としての"s" の音を、それにふさわしい方法で学ぶと、/s/という音が、独立した子音として頭にインプットされます。独立性子音とは、すでに見たように、「音質を変えずに、息の続く限り、コンスタントに、そのまま発音し続けることのできる子音」のことですから、その子音が/s/ の場合でも、このような練習を行うことによって、日本語に存在する、「母音との不可分な連鎖」を、すっぱり、気持ちよく、断ち切ることができます。そして、この厳しい訓練を経ることによって、/s/ の音は、独立した子音として、訓練者自身の中で認知され、心身の内部に、いつでもそこから取り出すことのできる「音の戸籍」を確立することができるのです。

 このように、音の認知および戸籍化を踏まえ、改めて、子音の/s/ 音と、母音の/i/音とを、互いに初対面者として、対面させるのです。すると、お互いに独立した子音と母音の対面、並びにマッチングが成立し、ここで初めて、両者が対等の立場で連結するという、次の段階が見えてきます。ここまでくれば、/si/という音が日本人の心の中で、新たな市民権を得て定着するのです。そして、辞書を引き、発音記号が/si/となっていれば、ためらうことなく、/si/と、時を移さず、タイミングよく、発音できるようになります。

9./s/の音の正しい練習の仕方

次に、念のため、/s/ の音の正しい出し方をおさらいしておきましょう。

 /s/の音は、歯擦音といって、上歯と下歯の間のわずかな隙間から、擦れるような息の音を出し続けると出る音です。舌の位置や息の出し方を自分で少しずつ変えながら、擦れる音が強く響き渡るように練習します。舌先を下歯の裏にくっつけ、上の歯と下の歯の間を狭め、そこから息を出しながら、歯間近くで、激しくこすれる音を、コンスタントに出し続けるのがコツです。

 この音がしっかり出せるようになったら、この音の後に間髪を入れず、/a/ /i/ /u/ /e/ /o/の音を、それぞれ、順番にきちんと、くっつけていきます。すると/sa/、/si/、/su/、/se/、/so/の音が出せるようになります。最後に、1.sea 2. sin   3. single   4. sympathy 5. sink  を順番に発音する練習をします。これを、毎日5分、一か月練習します。

10.sh の音の出し方

 日本人は、「し」の音を出すことができます。そして、「しゃ」「し」「しゅ」「しぇ」「しょ」が言えます。日本人の「し」の音は英語のshの音とほぼ同じですが、実は微妙に違います。この際,正しい sh の音の出し方をマスターしておきましょう。英語のshの音は、両唇をすぼめて、思いきり前方に突き出し、ひょっとこの口のように、先っぽを丸めて保ちます。そして、舌の先を上の歯と硬口蓋の間のあたりに向かって、まっすぐ伸ばし、硬口蓋の一歩手前で止め、伸ばした舌の前方をめがけて息を勢いよく運び、舌の表面と硬口蓋の間で、激しく擦れる音を、コンスタントに出し続けます。この音がスムーズに出るようになったら、その音を、出来るだけ長く保つようにします。呼吸の続く限り、無理なくこの音を出し続けることができるようになるまで、しっかり練習してください。

 この音が出るようになったら、1. shine     2. shake     3.  shoot     4.   shallow     5.  shark     6.  should     7.  sheep     8.  short     9.  shuttle     10.  she

を10回大きな声で言う練習をします。これを5分間、毎日一か月続けます。

11.thの音の出し方

 thの音は、英語の「ありがとう」に相当するThank you. で使われるほか、「ひと月」を意味するone monthでも使われます。また、「考える」のthinkでも使われるので、正しい発音を覚えた方が絶対に良い音です。日本語の「サンキュー」は、ネイティブの人には、Sank you. (お前を沈めてやったぞ。)と聞こえるので要注意です。thの音は、他にも、theory(理論、説)、theme(テーマ、主題)、theater(劇場)、thin(薄い、まばらな)、thick(濃い、太い)Thursday(木曜日)、thirsty(喉が渇いた)など、日常よく使う言葉に出てきます。

 この音は、舌先の先端5ミリほどを、上の歯と舌の歯で軽く挟み、挟まれた舌の上部から、柔らかく優しく漏れる息を出します。息が、その場所以外からは決して出ないように気を配ります。こうして、柔らかな息だけが、音もなくでるに任せます。息は、舌先が上下の歯に挟まれている分、鬱屈したようにしか出ませんが、これが正しい音なのです。音と言っても無声音で、しかも/s/の音などとは違って、擦れるような音も出ません。ですから、音はなく、息だけが出るのを確認します。もし、音が出るようだと、間違った発音になっているので要注意です。

 th の息の音がしっかり出せるようになったら、この音と/a/ /i/  /u/  /e/  /o/ の母音を順番に結びつけます。これも言えるようになったら、1.Thank     2.  theme     3.  theater     4.  thin     5.  thirsty  6.  think     7.  month     8.  thick     9.  theory     10.  Thursday  を言う練習をします。これを毎日一回5分繰り返し、一か月続けて練習します。

 

 

 

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