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前置詞はなぜ名詞の前に置かれるのか?

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前置詞はなぜ、名詞、代名詞、名詞相当語句、の前に置かれるのか?

前置詞はなぜ、名詞、代名詞、名詞相当語句、の前に置かれるのか?

2021/06/30

前置詞はなぜ、名詞、代名詞、名詞相当語句、の前に置かれるのか?

前置詞の役割とは?

前置詞が名詞の前に置かれる語であることは、文法の常識として、一応、誰でも知っています。しかし、なぜ、どんな理由で、名詞の前に置かれるのですか、と少しばかりへそ曲がりな、でも優秀な、日本人中学生に尋ねられたら、多くの大人は、微笑しながら、「さあ、なぜでしょうね?私も知りません。でも、それは前置詞の本来の性質なんです。しかも、一見、例外に見える場合でも、それなりに理由があって、実際には鉄壁の規則だから、むしろ、理屈は抜きで、心置きなく、正しい使い方に習熟するのが一番だね、」と、一見、穏当で、当たり障りのない答えをしてしまうかもしれません。

でも、日本語の助詞との比較で言えば、英語の前置詞の位置は、驚くなかれ、日本語の助詞の位置と真反対です。英語と、その和訳とを、それぞれ、前置詞と助詞との相対的位置関係に注意を払いながら、つぎの例文1、および例文2において、見てください。

1.Let us meet again at ten o'clock tomorrow morning at this end of the bridge we are now standig on, shall we?  今私たちが(その上に) 立っているこの同じ橋の、こちらのたもと明朝10時会いましょうね。
2.Could you tell me the way to the nearest post office from here?  ここから一番近い郵便局へ行く道を教えてもらえませんか?

上記の二つの例文は、たまたま私が勝手に作った英文であり、その和訳ですが、他の文例を見ても、また例文の数を増やしても、多分、結果は同じです。

前置詞は、日本語の助詞に、その働きがよく似ていますが、重要性の点でも、両者は同じです。一方、学習者を悩ます点では、前置詞は冠詞と双璧かもしれません。ある程度英語らしい英語が書けるようになり、さらに上を目指して、頑張っている人にかぎって、前置詞や冠詞は、その正しい使い方をめぐって、とめどなく悩まされます。また、英語で話す場合でも、両者の正しい使用は、決定的に重要です。もし誰かの英語が、両方とも間違いだらけだったら、助詞がまともに使えない外国人のしゃべる日本語に似て、聞くに堪えないのです。

ただ、学習者にとって、いずれがより難解かと言えば、冠詞は、 a, an, the のいずれかであり、無冠詞の場合を入れて、四択ですが、前置詞はずっと母数が多く、よく使われるものに限っても、優に30を超えます。その上、大半は極めて多義的であり、平均して、10を超える異なる使い方があります。したがって、その複雑さは、冠詞の比ではありません。

さて、勿論、何年も続けて英語を学んでいれば、前置詞の使い方は自然に身に付きます。気づいたら、必要なとき、ちょうど正しい前置詞を、全く問題なく使っていた、ということになっています。前置詞は、日本語で言えば「てにをは」などの助詞に相当しますから、もともと、無意識に正しく使えて当たり前なのです。でも初心者は、すぐにはそのレベルには到達できません。前置詞に対して何となく苦手意識を持っている人も一定数いらっしゃることでしょう。初心者にとっての前置詞の難しさは、少なくとも見かけ上、必ずしも名詞の前にのみ出現するわけではない、ということにも由来します。たとえば、

1.Count me in.(それにわたくしも加えておいて)

2.   I'll drop in. (立ち寄らせてもらいますよ)

3.Go on. (お話を続けてください)

4.Come in. (お入りください)

5.Hey, come on! (さあ、かかってこい)

6.Get in. (乗って、又は乗りたまえ)

7.What for? (どうして?)

8.Where to, sir? (どちらまで?)

など、前置詞だと思っていた in 、on、for、to などが、動詞の後ろや疑問詞の後ろなどにくっついて使われる例が、結構、多くみられます。また、for やas などのように、前置詞としての機能と接続詞としての機能を併せ持っているものもあります。また、out of、into、onto、underneath、throughout、unto、などのように、二語以上の語が連結して前置詞として働くようになったものや、duringやgiven などのように、明らかに動詞の派生形から、歴史のある時点で、便宜的につくられたと考えられるものまであって、その数は、時代を通じて、微妙に増減を繰り返してきたものと推察されます。

1~6のin や on  など、動詞の後ろにくっつく例外は、後ろにつく名詞の省略が慣例化した例として扱うか、独立の副詞として使われた例として扱うべきです。他にも、動詞の原形にくっついて不定詞となる to の特殊な用法もあります。これらは別個に扱うことにすると、それでもやはり、圧倒的に多くの前置詞が名詞の後ではなく、前に置かれる、という隠れもなき現実が、途方もないスケールで私たちに迫ってきます。そもそも、いわゆる八品詞の一つである前置詞 (preposition) という名称自体、pre=beforeであり、position は pose=置く、の名詞形で、「位置」を意味しますから、文字通り「前置すること、もしくは、前に置かれたもの」であり、名詞(より正確に言えば、名詞、代名詞、名詞相当語句)の前に置かれる、とされていたことが、この文法用語からも読み取れます。こうして、前置詞の持つ特別な位置に関する私たちの疑問はいよいよ深まります。 

私の考えでは、この疑問への答えは、いわゆる五文型の成立という、英語の、というよりも英国の、ある歴史的事実に求めることができます。つまり、11世紀に起こったノルマン人による英国征服という歴史的動乱(これ以後、長らく、フランス語を話すノルマン王朝の支配下に置かれた)の影響が300年に及んでいる間に、英語は、格変化の多くを失い、文法上の欠損を補うために、主語+動詞を基本形とする、五文型の固定化が起こり、元来は動詞を説明する副詞であったものの多くが、名詞と結んで句を形成するようになり、それが、大きく分けて二つの用法を生んだのです。

一つは、主語の自己完結的な運動、もしくはその現在の状態、などを表す自動詞(第一、第二文型)に直接繋がる副詞的用法であり、もう一つは、主語や補語や目的語の役割を負わされた名詞に、後ろから繋がる形容詞的な用法です。つぎの例を見てください。

1.His house stood on the top of a hill. (彼の家は丘のてっぺんに立っていた)

2.He came to my house yesterday to have a talk with me. (彼は僕と話すため、昨日僕の家に来たよ。)

3.Pass me the salt on the table, pease. (テーブルの上の塩をとっていただけませんか。)

4.I shall be meeting him during my stay in London. (私はロンドンに滞在中に彼と会うつもりです)

1では、stood とthe top of a hill に間に、前置詞の on が挟まり、「~の上に(立つ)」という意味を介在させることで、両者の大事な関係を表現しています。もう一つの前置詞 of は丘の「所属部分」を表し、the top of a hill は、「丘の(一部である)頂上」という意味です。

2では、came とmy house を前置詞の to が繋ぎ、「(誰かが)~へ(やって来る)」というように、ある行為を完成させます。3では、on が「(何かが)~の上に(存在する)」という意味を帯びて、ここでは「塩」が存在する場所を示すべく、「塩」と「テーブル』の中間に置かれています。また、4のduring  は、目的語(him )を挟んで、先行する動詞(meet )に繋がっています。また、in は「私の滞在」と「ロンドン」の間におかれ、私の滞在場所を示すために使われています。

前置詞はまた、to my surprise (驚いたことに)とか as for me(私としては)、あるいは in my view(私の見解では)などのように、独立的副詞句として文頭に置かれる句を形成する場合がしばしばあります。これらは文全体にかかる文副詞の働きをします。働きとしては、これらは、when や if などの接続詞が文頭に置かれ、文全体を修飾する従属節を形成する場合と似ています。文全体にかかる副詞や副詞句や副詞節は、英語だけでなく日本語においても文頭に置かれるのは、興味深い一致です。これらは一つの文を、外側からすっぽり覆うもう一つの文、という役割を果たします。いずれも、元の文全体に、前もって、副詞的に(つまり主節の動詞に響くように)ある限定を加えておく、という意味合いを持っています。

このように、前置詞の位置は、ある二つのもののつながりを意識して、その最短距離を確保できる位置に、合目的的に決定されている、ということを実感することは、それを実際に使うときに、いかに効率的に、また効果的に使うか、を考慮する機縁になり得ます。前置詞は決して、いい加減なところに、適当に配置されているのではない、と知ることは、語や句のベストな配置に、これまでよりずっと意識的になるための、格好の気付け薬になるということです。以下はまとめです。

まとめ1.前置詞は単独で機能するのではなく、必ず、前置詞+名詞=前置詞句、というように句を形成し、それは、先行する動詞にかかる副詞句となるか、先行する名詞にかかる形容詞句となって、必ず語順合理的に結束し、強く、意味連携をアピールします。

まとめ2.   いずれの場合も、前置詞+名詞という語順は変わらず、主語+動詞+前置詞+名詞、もしくは主語+動詞+名詞A+前置詞+名詞Bという語順は動かないのです。そして、これが、すべての前置詞が、その本来の機能を果たす限りにおいて、必ず、名詞の前に置かれる理由です。

 

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