文の要素について
2021/01/06
文の要素とは何か(その1)
文の要素と品詞との関係
主語とか動詞とか、あるいは目的語とか補語とかは、すでに大部分の学習者におなじみの文法用語です。しかし、文の要素を全部挙げてください、と言ったら、かなりの人は戸惑うのではないでしょうか。もちろん、だれでも要素という言葉自体を知らないわけではありません。しかし、文の要素となると、さて何だったかな、となりがちなのです。でも、文の要素を知ることは、文の何たるかを知ることと直結しています。そして、文を知らないで英語を学び続けるわけにはいかないことくらい、だれでも承知しているはずです。したがって、文の要素を知ることは、英文法学習の一丁目一番地なのです。
しかし、なぜ文の要素なのでしょうか。「要」は要(かなめ)です。例えば、扇の要が扇にとって一番大事な箇所であることはよく知られています。「要」は「必要」の要でもあります。「要」は、何事においても、なくてはならないものを指します。文の要素の元の英語は element と言い、科学では「元素」をさします。酸素や水素や窒素や塩素など、様々な物質を構成する基本成分が「元素」であり、わたくしたちの身体も、いろいろな分子でできていますが、それらの分子は、様々な元素の組み合わせでできています。ですから、文においても、要素は文を構成するための基本元素であると考えてよいのです。
私は中学二年の時、英語の成績だけが急速に落ちていくのを身をもって感じ取り、やむを得ず、8キロ離れた町の書店で英語の参考書を買い求め、それを必死で学びました。そのとき、一番、文法上の概念として受け入れるのが難しかったのが、文型という考え方でした。学ぶのに最も時間のかかったのは、多分、文に存在するとされる五つの型、すなわちパターンを区別して認識することでした。要素は品詞とも異なります。品詞も、基本的に文を構成する要素です。よく八品詞と言われます。しかし、紛らわしいのは、例えば、主語という用語は品詞には存在しませんが、動詞は文の要素にも、八品詞にも登場し、名詞と並んで主要な品詞の一つです。ここで話が大分混線してきます。動詞は名詞と並ぶくらい数が多く、主語に対する動詞、すなわち文の動詞と、その他の動詞を区別することが、実は基本的に最も重要なことの一つなのです。
複文や重文では、一つの文の中に別の文が組み込まれています。それも含めて一つの文と勘定します。結果的に、品詞と要素は互いに矛盾することなく、一つの文を支え続けます。どちらも必要なものです。ただし、主語が何かということは、文のメッセージに深くかかわる話です。文で伝えたい主題、もしくは文に登場させたい主人公が、語、句、節などで示されるとき、そこに主語が立ち現れます。品詞でいえば、主語になりうるのは名詞、代名詞です。八品詞以外に文になりうるものを追加すれば、動名詞、名詞句、名詞節がそれにあたります。そして、目的語も補語についても、主語の場合と同じく、名詞、代名詞、名詞相当語句がそれらになることができます。また、補語は、名詞、代名詞、名詞相当語句の他に、形容詞もなれます。例えば、「喉の乾いている」状態を指す形容詞 thirsty を使って、I am thirsty. と言うことができます。 ここで使われているam は、もちろん、be動詞の一人称・単数・現在の形で、意味としては、「存在」ではなく「等価」(A=B) を表す用法です。ここでは、I=thirsty という関係が成り立っているとみなすことができます。また、It is of no use .では、It = of no use という関係が成り立っており、of no use はuseless と同じ意味の形容詞句です。そして、be動詞の三人称・単数・現在である is の補語です。